ひとつは、先行投資事業を20年スパンで黒字化させられる財務構造だ。許認可事業の安定収益と、株主への説明責任を負わない非上場という企業構造がなければ、20年は待てない。
もうひとつは、「循環の絵を描くのが、僕の仕事なんです」と語り、地域全体とグループ企業である11の会社と団体の事業構想を練る経営者の存在だ。ゴミ収集、液肥、農業、加工、飲食、運搬までを一本の線で描ける人間がいなければ、仕組みそのものが成立しない。
20年待てる財務と、絵を描ける1人。この2つがそろったとき、自治体と民間企業が連携する持続可能な町づくりが、初めて事業として回り始めるのだ。
皮がむかれた、みかん——社員に徹底する「お節介」
「大事にしているのは、夢と目的です。結果では人は動かない。夢と目的を明確にするのが、僕の仕事。目の前の困りごとを解決するお節介を焼いていれば、結果はついてきますから」
こう言う牧さんは、従業員にも「お節介」を徹底させる。売り上げや単月の数字ではなく、目的を語り続ける。曽祖父・利夫さんの創業理念「受くるより与えるが幸いなり」を受け継いだものだという。
社員が判断に迷ったとき、自分に問うのは「地域のためになっているか?」だ。
おばあちゃん子だったという牧さんは、お節介についてこう語る。
「おばあちゃんって、すごいお節介を焼いてくるじゃないですか。僕が子どもの頃、お風呂から上がったら『みかん、食べえ』と声をかけてくるんです。そして、冷蔵庫から皮がむかれたみかんを出してくれるんですよ。綺麗に洗われたマーガリンの空パックに入ったみかん。乾燥しないようにと、入れてあるんですよね。当時は、ありがた迷惑だなと思ってましたけど、今になって思うとおばあちゃんの愛情だったんですよね」


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