各球団は二軍本拠地の近くなどに「選手寮」を設けて、若い選手を入居させ、集団生活を送らせる。食事や健康管理全般について面倒を見るほか、球団によっては元プロ野球選手が「寮長」を務め、「門限」を過ぎて帰ってくる選手を叱責するなど、生活管理も行っている。昭和の時代の大企業は「社員寮」を設けて若手社員を管理したが、日本のプロ野球では、それに近い体制が今も続いているといえよう。
だから選手が不祥事を起こした場合は、球団が「選手の私生活を含めた指導・管理が行き届かなかった」として、球団として公に謝罪することも多い。
「個人事業主」である選手には、自らの行動に責任を負うことが求められるが、日本のプロ野球では、球団が選手をあたかも「社員」のように見なし、管理責任を認めて謝罪してきたのだ。
「説明責任」を果たす必要がある
広島東洋カープは、親会社のない「市民球団」であり、松田オーナーの「個人商店」とみなされ、他球団にはない「家族的な団結」が売りだった。しかしながら、今回の不祥事に際しては、選手個人の責任を強調する一方、球団側の対応について十分に説明しているとは言いがたい。
そういうスタンスに変わったのなら、そのこと自体を問題視することはないのかもしれない。
しかし事件が一個人ではなく「複数の選手」へと広がった疑いが生じた時点で、ここに至るまで看過した球団側に一定の責任が生じるとみるのが自然だろう。
少なくとも、広島球団は、所属選手が逮捕されたり、家宅捜索を受けたりした一連の事件について、ファン、スポンサー、リーグ関係者に対して「説明責任」を果たす必要があるだろう。羽月の事件が起こってから、球団はメディアの取材に断片的に応じているが、一度も記者会見を開いていない。客観的に見れば「逃げている」と思われても仕方がない。
観客動員が伸び悩んでいるのは、チームの不振に加えて、広島のファンが今回の事件の推移、特に球団の態度に「不信感」を抱いていることが一因になっているのではないか。


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