そうは言っても、和菓子・洋菓子部門の商品が悪くて売れなかったわけではない。部署には国内コンクールで賞を獲るような腕のいい職人もいる。問題は商品ではなく、値付けのずさんさだった。
もともと春華堂は、保守的な菓子メーカーだ。当時は社員同士がみな「知り合いの知り合い」であり、中途社員もめったに入ってこない環境。意思決定はその場の空気感で行い、各部門の職人は「いいものを作れば売れる」と信じて疑わなかった。
それでも、うなぎパイの売り上げがすべてを覆い隠していたのだ。
「当時は原価計算もずさんで、明らかに人件費が考慮されない価格になっていることもありました。『これは、200円では売れないけれど、150円なら売れるだろう』などと、すべて感覚値で価格を決めていたそうです」
「社員投票1位」なのに、経営層は却下
そこでまず取り組んだのが、数字の「見える化」だ。これまで一括していた決算を事業ごとに分け、どの部門がどれだけ利益や損失を出しているのかを明確にした。そこで見えてきたのが、和菓子・洋菓子部門の長年にわたる赤字経営だったのだ。
一方で、数字が見えたことで、赤字を解消するために必要な売り上げも見えてきた。和菓子・洋菓子部門で年間5000万円を売り上げる商品をいくつか育てることができれば、立て直せる。目標が明確になったのだ。
そうなると、問題は「商品」だ。そこで間宮さんが実施したのが、社内コンクールだった。和菓子・洋菓子部門では、腕があるにもかかわらず、職人が商品提案する機会がほとんどなかった。そこで、食堂に試作品を並べ、社員が投票する「社内コンクール」を開催したのだ。ところが……。


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