この区別が重要なのは、レベルごとに必要な経営判断と投資の評価軸がまったく異なるからです。レベル1はROIを直接示しやすく、意思決定は事業部内で完結します。レベル2は効果測定が複雑になり、複数部門を統括する事業責任者のオーナーシップが要る。レベル3は短期のROIでは正当化しにくく、経営トップの長期的なコミットメントが前提になります。
ここで紹介するのは、レベル2に位置づけられる教育機関の事例です。
AIが崩した質と量のトレードオフ
多数の学生を持つある教育機関は、DXに積極的に取り組んでいました。
定員割れのリスクと常に向き合う教育機関にとって、最大の経営課題は志願者の確保と就職実績の向上です。就職実績がよければ志願者が増え、好循環が生まれる。ただし、学生全員にきめ細かい就職支援や学習支援を届けることは、人的リソースの限界から不可能でした。
ここに、典型的なトレードオフがあります。きめ細かい支援をしようとすると人員が足りない。対応数量を増やそうとすると、一人ひとりへのケアが薄くなる。窓口に来た一部の学生だけが個別アドバイスを受けられ、それ以外には届かない。多くの組織が、この構造を前提として受け入れています。
その課題を解消するために開発されたのが、AIアドバイザーです。
このサービスは2段構えで設計されています。まず、バディと呼ばれるAIエージェントが、入学から卒業まで一人ひとりの学生に寄り添い、その学生の成績、履修履歴、興味関心、過去の相談内容を踏まえた個別の助言を行います。そしてバディ以外にも各領域を専門にするAIエージェントがおり、バディが学生の相談内容から判断して適切な専門エージェントと連携し、回答を生成します。


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