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AI活用を「点・線・面」で捉える――質と量のトレードオフを崩した教育機関に学ぶ、売上の構造が変わる3つのレベル

6分で読める
AI活用
AIをどのように取り入れると売上の構造が変わるのか?(写真:World Image/PIXTA)
  • 椎橋 徹夫 Laboro.AI 代表取締役CEO
  • 田辺 遼 Laboro.AI ソリューションデザイン部部長
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汎用的な生成AIとの決定的な違いは、独自のシラバス、カリキュラム、学内ルール、各種支援制度をすべて読み込んでいる点にあります。さらに、学生個人の成績や履修履歴と紐づけて回答します。あなたの場合はこの授業を取ったほうが卒業要件に近づく。あなたの志望業界を考えるとこのインターンが有効。こうした個別化された助言は、汎用AIでは出せません。

教育機関のAI導入イメージ図

この仕組みが実現したのは、2つのことです。ひとつは量の拡大で、これまで窓口に来た一部の学生しか受けられなかった個別アドバイスを、全員がいつでも受けられるようになりました。もうひとつは質の向上で、学生固有の情報を踏まえた個別支援が可能になっています。

量と質。従来であれば片方を取れば片方を諦めるしかなかった2つが、同時に上がっています。トレードオフが解消されたということです。

AIに何をやらせるかより先に決めること

ここで注目したいのは、技術の中身よりも、このプロジェクトでAIに与えられた目的です。

DX推進責任者には、それぞれの部門の活動は全力でやってもらいたい、という意思がありました。つまり、AIの活用目的はスタッフの負荷軽減ではありません。狙いは一貫して、学生への提供価値の向上にありました。

成果の出方も、それに応じて変わります。在学生にとっては相談窓口の対応量が増え、助言の質も上がる。さらに入学を検討する受験生にとっては、こうしたサービスの存在自体が志望度を高めます。複数のAIエージェントが連携して一人ひとりに対応するAIアドバイザーを全学生に提供したという先進性は、受験生や保護者にとって強いメッセージになります。

経営層が見ていたのは、AI導入による短期的な効率化ではありませんでした。学生体験の質を根本から変えることで、就職実績の向上や志願者増を実現し、それが競争力を中長期的に高めることにもつながり得るだろうという、経営的な先見の明です。

AIで何をやらせるかを考える前に、何のためにやるのかを決める。この教育機関で質と量のトレードオフが崩れたのは、技術が優れていたからではありません。崩すべき対象がそこにあると、最初に決めていたからです。

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