また、メディアが多様化したことで「完全引退」という形はさらに少なくなるのかもしれない。テレビしか主要な活動場所がなかった時代とは違って、現在はラジオ、舞台、配信、YouTube、イベントなど活動の場が細分化している。毎週テレビ番組を仕切る体力はなくても、月に数回ラジオで話すことはできる。全国ツアーは難しくても、小さな劇場に立つことはできる。芸能界から完全に引退するのではなく、「この仕事からは退く」といった段階的な引退の形がさらに一般的になっていくだろう。
“去り際”に見える人生観や仕事観
結局、芸人の「辞めどき」に正解はない。むしろ定年がない職業だからこそ、去り際にその芸人の人生観や仕事観がはっきり表れるとも言える。何歳まで人を笑わせたいのか、どのような姿を観客に見せたいのか、仕事と人生をどこまで重ね合わせるのか。伊東四朗の引退宣言は、「芸人はいつまで芸人であり続けるのか」という根本的な問題を改めて突きつけているのだ。


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