実は、こうしたケースは珍しくありません。私は、家賃は夫、食費や日用品は妻、といった費目ごとに支払いを分ける家計を「バラバラ財布型」と呼んでいます。
一見すると合理的です。しかし、自分が担当していない支出には関心が向きにくく、「自分はこれだけ払っている」という感覚だけが強くなりがちです。
今回の夫もそうでしょう。夫には「毎月の家賃と水道光熱費といった固定費を払っている」という明確な負担が見えていました。一方、妻が何度も支払っているおむつや食品、日用品などの変動費の総額は見えていなかった。
さらに、産休・育休に入れば収入バランスも変わります。結婚当初は公平に見えた分担方法でも、子どもが生まれ、どちらかの収入が減れば、同じルールが公平とは限りません。
理想は「2人の収入を合算する」お財布一体型
そこで私がおすすめしているのが、2人のお金を「1つの家計」として考える方法です。イメージとしては、夫婦の収入をいったん「合算」する。
「家賃は夫のお金」「食費は妻のお金」ではなく、「夫婦でいくら稼ぎ、家計全体でいくら使い、いくら貯めることができて、残ったのか」を見るのです。
本稿では、これを「お財布一体型」と呼んでいます。2人の収入を合算し、そこから生活費を支払い、先取りで貯蓄や投資に回す。家計のお金の流れがシンプルになるため、資産形成もしやすくなります。
もちろん、最初からすべてのお金を1つにする必要はありません。共有口座を作り、そこに入れる金額を増やすところから始めてもいいでしょう。
重要なのは「誰がいくら払ったか」という視点から抜け出すことです。
今回の妻が夫に買い物を頼んだのも、結果として、これまで見えていなかった家計の一部を夫に「見える化」することになりました。
「自分はこれだけ払っている」ではなく、「私たちはこれだけ使っている」に視点をシフトする。
夫婦のお金を共通の家計として捉えられるようになることが、一番貯まりにくいとされている「バラバラ財布型」から抜け出す第一歩です。今回の夫婦にとっては、夫が粉ミルクとおむつを買ったことが、そのきっかけになったのかもしれません。


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