プラボウォ政権は先般、前政権下で国の負担なしという前提で開業させたジャカルタ―バンドン高速鉄道の建設債務を国営企業グループから財務省に移管し、国の管理下に置くことを決めた。移管に反対の立場を示していた財務大臣は、この直後に更迭された。
国産品比率向上のためINKAに建設させたバニュワンギ工場も前政権の置き土産であり、構図的にはこれと変わらない。だからこそ、関係者は今回の中古車両輸入許可取得に楽観的な立場なのである。10月1日の内閣改造で、ジョコウィ政権時代から続投し、中古車両輸入の反対を貫いてきた工業大臣も更迭となった。
とはいえ、あくまでも暫定的な措置であり、冒頭のアンドレ副委員長のコメントにある通り、「国内産業の発展と並行して」という条件付きだ。数年以内にINKAを立て直さなければならない。
INKAが鉄道会社の傘下に
そこで今、進んでいるのがKAIによるINKAの買収だ。KAIは毎年、安定した営業利益を生み出しており、2025年には8兆ルピア(約705億円)を突破した。両者の合併は、前政権時の国営企業改革でも取り上げられていたが、実現には至らなかった。それが今、背に腹を変えられない事情から急転直下で動き出した。中古車両の輸入解禁は、KAIが瀕死のINKAを救うことに対するバーターとも言える。
KAIによるINKAの買収手続きは7月から始まっており、年末までに買収を完了、2027年から新体制でのスタートを切る予定である。買収後、KAIが持株会社となり、INKAは子会社(合併後の会社名は未公表)となることから、両社間での資金融通が可能になる。また、国営企業を束ねるホールディンク会社、かつファンド機能も併せ持つダナンタラインドネシアが、INKAの過剰債務、約4.7兆ルピア(約414億円)を肩代わりする案も浮上している。
KAIはINKAの買収後、オペレーションからメンテナンス、そして車両製造を一気通貫できる東南アジア最大の鉄道会社になると意気込んでいる。2027年はシンガポールで鉄道見本市「イノトランス・アジア」も開催されるタイミングだ。KAIは子会社をひっさげて出展することになるだろう。この大舞台でインドネシアの存在感を発揮してもらいたいものだ。

