アンアンのもう一つの柱が特集だ。アンアンから生まれ、その後、ほかの雑誌やテレビなどでも広く取り上げられるようになったテーマは少なくない。「腸活」「フェムケア」「睡眠」といった健康系の企画をはじめ、「癒やし」「ご自愛」など、今では多くの媒体で使われている言葉や切り口を、早い段階から特集として形にしてきた。
「昔から女性の身体や心の不調はありました。それが今は『フェムケア』という言葉になり、新しいテーマとして出てきます。みんな疲れていて、自分をいたわりたいという感覚を、今の言葉ならどう表すのか。それを考えています」
「情報解禁」を早めた理由
編集だけではない。販売面でも、従来のやり方を変えてきた。
その一つが「情報解禁」の早期化だ。「以前は発売の2週間くらい前に表紙を出していましたが、今は1カ月半ほど前から情報を出すことがあります。情報解禁を早め、SNSなどで段階的に告知し、発売に向けて読者の期待を作っています。情報解禁してすぐに、ネット書店などに注文が殺到することもあります」
直近3期で重版11回、完売19回を記録するなど、ヒットを重ねてきた。ただ、北脇氏は、売れた号に決まった共通点があるわけではないと話す。「これはこれだから売れた、あれはあれだから売れた。それぞれに理由があります。一言でいえば、その時代の物語が表れ、みんなが『わっ』と感じ、感情が動く号だったということです」
こうした情報解禁の早期化によって、予約数をもとに、発行部数や配本をより精緻に設定できるようになった。その結果、返品率も改善した。また、付録付きの号などでは通常とは異なる価格を設定するなど、号ごとに柔軟な値付けをしている。
雑誌業界では、雑誌の休刊や刊行頻度の見直しが続く。紙代、印刷費、物流費は上がり、さらに値上げは読者離れを招きかねない。では、アンアンでデジタル化に大きく舵を切ったり、隔週発行を検討したりしたことはないのか。北脇氏は「現状、ありません」ときっぱり言う。
「マガジンハウスの雑誌は、紙にこだわり、質感にこだわり、いろいろな形の編集プロダクトを出しています。買ってくださる読者がいてくださるのは、紙で出している編集プロダクトに魅力があるからです。読者の方が、この質感を含めて買ってくださっていることが、うちの会社の最大のポリシーであり、アイデンティティーだと思っています」


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