それだけもつなら再開発などによる建て替えは不要と考える人もいるだろうが、それはまた違う話だと松村さん。
「RC造の躯体は半永久的にもつとしても設備は100年もちません。そして今のオフィスビルは設備の割合が非常に高い。建物が全体で100円するとしたら、そのうち、設備は40~50円、コンクリートは15~20円という感じでしょうか。それを建て替えることには経済的な意味があり得るでしょう。
ところが古いビルでは設備が少なく、100円のうちの40円以下。学校などはほとんど設備がないので、躯体に問題がないのであれば使い続けるほうが合理的です。
このように建物を使い続けるのがいいか、更新するのがいいかは建物そのものの物理的な寿命以外にも建物の用途、使い方、経済的な合理性その他の要素も精査、検討すべきもの。ところが現状は建物が老朽化したという曖昧な一言で片づけようとする。そこに問題があり、ムダや反対も生まれているのではないでしょうか」
実際、建物自体には問題がなくても設備や間取り、使い勝手、立地が時代と合わなくなること、使い続けるためのコストが経済的に合わなくなることは十分あり得る。建物が長持ちするとしても全てが使い続けられるというわけではない。だが、少なくとも物理的には相当長くもつ可能性があるということを知っておけば、判断は変わってくるはずである。
最低でも100年後の暮らしを想定した建築を
また、新築時にはこれだけもつことを知って作っていただきたいもの。
初期のマンションは給排水管(しかも鉄!)をコンクリートに埋め込んでいた。そのため、給排水管交換には床あるいは天井をはつる必要があり、大変な費用と手間がかかった。それなら建て替えたほうがいいとなったのも当然だが、これからは安易に建て替えられる時代ではない。
とすると新築時にはこれから最低でも100年後の暮らしを想定、維持保全やリノベ費用を抑制できるようフレキシブルに対応できる建物をつくる必要があろう。建築家やデベロッパーの皆さんには長期的な展望をもって建てていただきたいところだ。


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