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ビジネス #自動車最前線

センチュリーというクルマの「生き様」――伝統と聖域を打ち破り、トヨタの頂点であり続けるための再起

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ジャパンモビリティショー2025でセンチュリーのクーペモデルを発表する豊田章男氏
ジャパンモビリティショー2025で「センチュリー」のクーペモデルを発表する豊田章男氏(写真:トヨタ自動車)
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しかし、この偉大すぎる歴史こそが、トヨタ社内に分厚い壁を作り上げていた。 センチュリーは誰も手を触れることのできない「聖域」となっていたのである。 

「私の中でのセンチュリーは、どこまでいっても『名誉会長(章一郎氏)のクルマ』でした」

そう、豊田章男氏は語る。父・章一郎氏が生涯をかけて愛し、泊まり込みで創り上げたクルマ。その情念の深さを誰よりも知る息子だからこそ、「自分が社長になっても、軽々とセンチュリーには乗れないし、口を挟むべきではない」という強い遠慮と躊躇を抱き続けていたのだ。

ショーファーカーの品格

事実、章男氏が社長時代に好んで自らの足としたのは、センチュリーではなく、「アルファード/ヴェルファイア」だった。約20年前、まだミニバンにショーファーカーの地位はなかったが、章男氏の姿を見たトップたちがこぞってミニバンを採用。今ではしっかりと市民権を獲得している。 

しかし、現場を歩く章男氏の耳に、こんな声が届いた。「ミニバンは最高に快適だ。しかし、いざオフィシャルな場へ乗り付けるときには乗っていけず、結局セダンに乗り換えている」と。

3代目「センチュリー」の後席(写真:トヨタ自動車)

ショーファーカーとは、ただ快適な移動オフィスであればいいわけではない。クルマから降り立つ主人の背筋を伸ばし、その品格と誇りを映し出し、美しい所作で主人をより輝かせる「鏡」でなければならない。

かつて、トヨタの本社前には役員たちが乗る黒塗りのセンチュリーがズラリと並んでいたが、ほぼミニバンへと置き換わっていた。そして、世間からは「センチュリーって、まだあったっけ?」と忘れ去られようとしていた。

3代目センチュリーの開発時、開発陣から意見を求められた章男氏は、こう答えた。

「センチュリーは名誉会長のクルマなので、通訳はしてあげます。でも、私に話を聞きたいなら『僕が乗ってもいいセンチュリー』を提案してください」

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