続いて、「子どもの頃から現在までに、海外旅行へ何回行ったことがあるか」も聞きました。

「3回以上」は30.8%、「一度もない」は35.0%でした。海外旅行は費用も時間もかかるため、経験回数に家庭差が出るのは当然でしょう。
なお、今回の調査には一般家庭との比較データがありません。したがって、「東大生はほかの人より旅行が多い」とまでは断定できません。ただ、少なくとも回答した東大生の多くにとって、子どもの頃の国内旅行が比較的身近な体験だったことはわかります。
では、旅行は子どもの学びに、どんな影響を与えるのでしょうか。
旅行先は、教科書の知識を引っかける「フック」になる
旅行が学びにつながる理由の一つは、教科書に出てくる言葉が、単なる文字ではなくなることです。
たとえば、北海道へ行ったことのある子が、社会の授業で「北海道」「札幌」と習ったとします。その子にとって、それらは白い地図の上にある地名ではありません。飛行機を降りたときの空気、広い道、食べたじゃがいもやチーズ、冬なら一面の雪景色など、いくつもの記憶と結びついた場所です。
そこに「冷涼な気候」「酪農」「畑作」「観光業」といった知識が加わると、教科書の内容が、自分の体験に引っかかります。
「そういえば、牧場がたくさんあった」
「あのじゃがいもがおいしかったのは、北海道で畑作が盛んだからなのか」
「外国人観光客をたくさん見かけたのは、こういう理由だったのか」
こうして、ばらばらだった知識が一つにつながっていきます。
歴史も同じです。京都や奈良を訪れた経験があれば、「法隆寺」「東大寺」「平城京」という言葉を見たときに、「聞いたことのない名称」ではなく、「行ったことのある場所」として受け止められます。教科書の写真を見て「ここ、見たことがある」と思えた瞬間、そのページは少しだけ自分に関係のあるものになるのです。
僕は、この「自分に関係がある」という感覚が、勉強においてとても重要だと思っています。


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