子どもが勉強をつまらないと感じる大きな理由の一つは、習っていることと自分の生活とのつながりが見えないことです。
「北海道では酪農が盛んである」
この一文だけを覚えようとすれば、それは意味の薄い文字列の暗記になってしまいます。なぜ覚えるのかもわからず、テストが終われば忘れてしまう。これでは、勉強を好きになるのは難しいでしょう。
ところが、旅行で見たもの、食べたもの、感じたことが先にあると、勉強の意味が変わります。勉強が「まったく知らないことを無理やり頭に入れる作業」から、「自分が見聞きしたことの理由を知り、整理する作業」になるのです。
「あの景色には、こんな理由があったのか」
「あの建物は、この時代につくられたのか」
「あの料理には、その土地の気候や産業が関係していたのか」
そんなふうに、体験と知識がつながる瞬間、勉強は急に面白くなります。知識を覚えたから楽しいのではなく、目の前の世界が少し深く見えるようになるから楽しいのです。
この「わかった」という実感の積み重ねが、勉強を好きになる入り口なのではないでしょうか。
旅行は子どもの「当たり前」を揺さぶる
旅行の効用は、学校で習う知識が増えることだけではありません。自分の暮らしている場所や、家族の生活を、少し離れたところから見られるようになることも大きいと思います。
子どもにとって、自分の住む地域の気候や食べ物、話し方、生活習慣は「当たり前」です。しかし、別の土地へ行けば、その当たり前が通用しないことに気づきます。
「雪がこんなに多い場所で、どうやって暮らしているんだろう」
「なぜ、この地域ではこの魚をよく食べるんだろう」
「同じ日本なのに、言葉の響きがずいぶん違う」
違いに出合うと、子どもの中に「なぜ?」が生まれます。この「なぜ?」こそ、学びの出発点です。知識を与えられる前に、自分から知りたいと思う。そうなれば、勉強は受け身の作業ではなくなります。


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