[Book Review 今週のラインナップ]
・『東大の経済学 激流の150年史』
・『新版 女の本屋の物語』
・『大転換期の国際エネルギー秩序』
評者・第一ライフ資産運用経済研究所 主席研究員 奥田宏二
進む専門分化と業績重視 「日本置き去り」への懸念を示す
多くのスター教授を生み、財政・金融政策にも影響を与えてきた東京大学経済学部だが、出発点は思いのほか小さい。1877年の東大創設時には文学部の一科目にすぎなかった。本書は在籍した歴代教授を軸に、東大経済学部の足跡をたどる。
150年近い歴史は輝かしいばかりではない。戦前から戦中にかけては自由主義やマルクス主義に対する思想弾圧が強まり、大学を追われる教授も出た。外部環境が厳しさを増す中でも教授陣の内部対立は激しく、その亀裂に国家の圧力が重なった。戦後も安田講堂事件など、大学紛争の波が押し寄せた。
東大経済学部の歴史は、マルクス経済学退潮と近代経済学台頭の歴史でもある。戦前の内部対立への反省から、戦後は両派が互いを尊重し一堂に会して討論する機会も設けられたが、それでも勢力図は次第に変わる。長らく大きな存在感を持っていたマルクス経済学は力を失い、近代経済学が主流となっていく。
この記事は会員限定です
残り 2140文字



