『リベラリズムからの体制転換:ポストリベラルと共通善保守主義』から抜粋。著者で、政治哲学者のパトリック・J・デニーン氏が、左右の不毛な対立を超え、人間本来の安定や共同体の秩序を取り戻す「共通善保守主義」の理念と全貌を解き明かす。
左右のリベラリズムに共通する「進歩至上主義」のドグマ
現代の政治空間では、「保守対革新」「右派対左派」という激しい不毛な論争が絶え間なく繰り広げられている。
しかし、政治哲学的視点から俯瞰するならば、近代における主要な政治思想である「古典的リベラリズム(リベラル右派)」「進歩的リベラリズム(リベラル左派)」、そして「マルクス主義(革命的ポピュリズム)」の3者は、根本的なレベルで同一の「共通前提」を共有している。
それは、政治の目的を「終わりなき変化と進歩(Progress)」に置き、人間を過去の伝統や地域、家族の制約から解放することこそが至上命令であるとする「進歩主義のドグマ」である。
まず、ジョン・ロックを祖とする「古典的リベラリズム」は、経済的エリートの優位性を確保し、個人の財産権と市場の自由を拡大することを主目的とした。
彼らは大衆の過激化を恐れ、憲法による制約を用いて資本主義の動的で変革的なエネルギーを解放した。これは「経済における進歩主義」である。
次に、ジョン・スチュアート・ミルに代表される「進歩的リベラリズム」は、経済的自由にとどまらず、伝統的な慣習や道徳、宗教的規範を「個人形成の邪魔になる障害物」とみなして解体を図った。
彼らは「生活の実験」を称賛し、専門家エリートによる指導のもとで文化・社会的な改革を推し進めた。これは「社会・文化における進歩主義」である。



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