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競合の顧客を丸ごと奪いにいく…AIを「自社」ではなく「顧客の現場」に向けた製造企業のすごみ

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AI活用のイメージ
顧客が抱えていた不自由を解くためにAIを使った結果、起きた変革とは?(写真:kotoru/PIXTA)
  • 椎橋 徹夫 Laboro.AI 代表取締役CEO
  • 田辺 遼 Laboro.AI ソリューションデザイン部部長

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AIをどこに使うかと考えるとき、たいていの企業は自社の業務を見渡す。どの工程が詰まっているか、どこに人手がかかりすぎているか。しかし、ある製造テック企業がAIを向けた先は自社ではなかった。顧客の現場に残っていた不自由を解いた結果、この業界が長年前提としてきた競争のルールそのものが揺らぎ始めている。
AI開発企業Laboro.AIの椎橋徹夫氏と田辺遼氏による『日本企業はAIでどう稼ぐか』から、一部を抜粋・再構成してお届けする。なお本稿で紹介する事例は、内容を維持したうえで業種や商品を一部変更している。

AIプロジェクトの問いは、3つの段階に分かれる

『日本企業はAIでどう稼ぐか: 既存事業の売上を伸ばす事業深化』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)

AI導入の検討は、自社の業務のどこが詰まっているかを探すところから始まるのが普通です。どの工程に人手がかかりすぎているか、どこで手戻りが発生しているか。

しかし、AIプロジェクトの出発点にある問いは、おおまかに3つの段階に分かれます。

もっとも着手しやすいのは「自社の業務プロセスの中で、AIで突破できるボトルネックはどこか」という問いです。次に「AIでプロセス全体の構造ごと変えられないか」という問いがあり、その先に、何を売るか、誰に売るか、どの市場で戦うかという事業構造そのものを問い直す段階があります。

問いの段階が変われば、得られる成果の大きさも変わります。そして、この問いの質を高められるかどうかは、経営とプロジェクトチームの対話の質にかかっています。技術者だけで閉じた検討からは、事業インパクトのある問いは生まれにくい。同様に、経営者だけの議論からは、技術的に実現可能な問いは立ちにくい。どちらか一方に寄った検討からは、どこまで行っても1つめの問いしか出てきません。

ここで、ある製造テック企業の事例を紹介します。この企業がAIを向けた先は、自社の現場ではありませんでした。顧客の現場です。

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