「業界に戻る可能性があるからパチンコ台のアニメ題材はチェックしています。僕はアニメ好きで、新しく始まるアニメは一度は全部見てます」
重い話題ばかりの取材の中で川口の声が唯一弾んだ。
「子どものころから見ていて、世代的にも『新世紀エヴァンゲリオン』が好きです。『ラブライブ!』も特に最初のシリーズは面白いです。僕もおじさんになってきたので、高校生の恋愛や日常を描いた作品が刺さることがあります」
趣味の話をしているときこそが、素顔の川口なのかもしれない。最後に「家族を支えるとはどういうことか」と問いかけた。
「妻からは、僕は“お金を稼ぐ人”と思われているようです。子どもには、中高生の時期に、僕が単身赴任になって、仕事を掛け持ちするようなことになり、申し訳ないと思っています。子どもは『将来はこの仕事をしたい。だから、この大学へ行く』というビジョンを持っていて、しっかりした子です。少なくとも子どもの人生を引っ張らないようにしたいし、自分のやりたいことをやってほしいですね」
これまでの生活を手放さないために選んだ“現金とっぱらい”
川口が現金仕事を掛け持ちするのは、ミスによる降格だけが理由ではない。コロナ禍での転職の遅れ、その後の減給――。しかし、収入が減っても、住宅ローンや生活費は変わらない。会社の業績悪化や病気、降格、転職。収入が突然減るきっかけは、誰にでもある。安定した家計でも、きっかけひとつでバランスはすぐに崩れる。川口はこれまでの生活を手放さないために“現金とっぱらい”を選んだのだ。
「毎月決まった生活費を送り、住宅ローンを払い続けることが、僕の義務です。僕は働くことに抵抗はないです。ただ、犯罪は嫌だし、自分の体を使って、自分にできることで稼ぎたい。体が続く限り働きたいですね」
この先は、高原リゾートに残るか、別の地域や東京に行くかはまだ決めていない。どんな場所にいても「家族のために稼ぐ」だけという川口の生き方はある意味シンプルだ。ひと声かけたくなった。
「頑張れ、お父さん!」


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