公的機関の1人当たりの年金は、企業の退職者の約1.5~2倍であり、農村の高齢者との格差はさらに20~40倍にも達している。
こうした制度間の差は、老後の生活水準に直結し、中国社会における高齢者の不平等を象徴する問題となっている。
退職エリートの悠々自適老後
政府機関の幹部などは、退職後も在職時の給与の8~9割程度の収入を維持できる場合がある。
筆者が日本に来る前に勤めていた新聞社の編集長は、退職後、毎月1万元を超える年金を受け取っている。
定年を迎えた彼が選んだのは、都会でのんびり暮らすことでも、家でテレビを見ながら余生を過ごすことでもなかった。友人が所有する郊外の山の土地と、そこに建つポツンと一軒家を借り、大きな家庭菜園を作った。さらに、鶏やアヒルまで飼い始めたという。
今では、ほぼ毎日のように車を走らせて山へ通っている。畑では季節ごとの野菜を一つひとつ丁寧に育て、鶏やアヒルの世話も欠かさない。その姿は、かつて新聞社で忙しく働いていた編集長というより、長年農業を営んできた農民そのものだ。
「自分で育てた野菜を、周りの人たちと分け合えるのが嬉しい。毎日体を動かすから、健康にもいい」そう話す彼の表情には、仕事をしていた頃とはまた違った穏やかさがあった。
年金で生活に困ることはない。土を耕し、野菜を育て、動物の世話をし、人と収穫を分かち合う。そんな一見素朴な暮らしの中に、退職後の人生の楽しみを見つけている。
退職後の人生を存分に楽しんでいる友人もいる。退職前は福建省福州市のある区で副局長を務めていたが、仕事を離れてからは、まるで第二の人生が始まったかのように、毎日を生き生きと過ごしている。
朝になると、友人たちと連れ立って広場に出かけ、音楽に合わせて広場ダンスを楽しむ。踊りが終われば、今度は仲間と麻雀を囲む。気が向けばふらりと旅行に出かけ、各地の風景や料理を楽しむ。仕事に追われていた現役時代にはなかなか持てなかった時間を、今は自分のために思い切り使っている。
「退職してからのほうが、毎日が楽しい」と笑う彼女の姿を見ていると、老後とは人生の終わりではなく、むしろ自分らしく生きるための新しいスタートなのだと思う。


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