逆に京都市では高度経済成長期以降、特にバブル期の急速な京町家の取り壊しに対する危機感から全国的にも早い時期から町家の保存活動が始まっている。2017年には当時としては画期的な「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」が制定・施行されているが、それでも町家の減少は今も続いている。
省エネ推進が「再建築不可」を救う意外な展開
それに抗するため、京都市ではこれまでも接道要件を緩和してきている。
接道要件は特定行政庁(*)が緩和することが可能で、東京都内でも木造密集市街地の解消、防災対策などとして緩和措置のある自治体は複数ある。
建て替え、修繕などができないまま、放置されて空き家化するよりは多少道路幅が狭くても建て替え、改修を行って安全な状態で使い続けられるほうが地域のためにはプラスという判断である。
京都市の場合は2022年に行き止まりの共用通路で幅員1.8m以上、専用通路で幅員1.5m以上に緩和されているのだが、さらに2025年11月には、一定の条件を満たせば接道規定の適用除外を認める新たな認定制度が創設された。
この新たな認定制度のベースになった法改正が2024年4月の「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」である。
これまでの接道要件の緩和は一般には防災的観点、京都の場合にはそこに景観的観点が加わって行われてきた。もともと防災観点で定められた道幅を、地域全体の防災上の懸念から緩和する。それなら分かりやすい話だが、今回の緩和はそれとはまったく別のところから降って来た。
省エネ性能向上を目的とした法律が、その実現のために接道義務を満たしていない再建築不可の一部の大規模修繕、大規模模様替えを可能にしたのである。


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