もちろん、偏差値の高い大学にいる人が全員努力家だというわけではありません。反対に、偏差値だけでは測れない魅力的な環境を持つ大学もたくさんあります。
大事なのは、大学名だけで価値が決まるという話ではありません。勉強することで、「自分が身を置く環境を選べる可能性が高まる」ということです。
いい大学に行く意味があるとすれば、それは「そこに行けば偉くなれるから」ではなく、「自分の当たり前を引き上げてくれる人と出会える可能性が高まるから」なのです。
この視点を渡してあげると、子どもの中で勉強の意味が変わります。
“合格するために仕方なくやるもの”から、“数年後の自分の居場所を選ぶためにやるもの”へと変わっていくのです。
そのうえで、こんな質問をしてみてください。
「あなたは、どんな人たちの中で過ごしたい?」
「本気で勉強している人」「好きなことに夢中になっている人」「いろんなことに挑戦している人」。子ども自身の言葉で、望む環境を語らせてみるのです。
すると、大学の話は“勝ち負け”や“他人との比較”ではなく、「自分はどんな場所を選びたいか」という主体的なテーマに変わります。
今の勉強が未来の居場所につながっている。その感覚を持てるようになるだけでも、勉強への向き合い方は少しずつ変わっていきます。
「どうせAIが全部やる」の裏にある不安
もう一つ、今の時代を象徴しているのが、こんな言葉です。
「どうせ将来はAIが全部やってくれるんだから、勉強しても意味ないよ」
一見すると達観した意見のようですが、その裏にあるのは、むしろ“不安”なのではないかとわたしは思っています。
自分が大人になる頃、どんな仕事が残っているのかわからない。今勉強していることが、本当に役に立つのかもわからない。急激に変化する未来を前にして、「自分が努力する意味」を見失いかけているのです。
ここで、「そんなことはない。AIにできない仕事もある」と説得しても、子どもはなかなか納得しません。


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