一方で、赤道から離れた北米や北欧など、本来は緯度が高く紫外線量が少ないはずの地域は濃度が高くなっているという。
「緯度が高い国では、冬場は日光からほぼビタミンDを生成することができません。そのため、明らかにビタミンDが不足することがわかっているため、国としてサプリメントを導入しようという動きになっている。また、栄養強化という形で、例えば、カナダでは牛乳にはビタミンDを添加することが国の方針になっています」(桒原さん)
つまり、欧米諸国ではビタミンD強化が国策としてなされているのだ。
日照時間にも恵まれているのになぜ?
高緯度の国に比べると、日本は日照時間では恵まれている。国策やビタミンDに対する理解がなくとも、これだけの猛暑ならばビタミンDの血中濃度は高くなっても良さそうなものだが、そうはいかないのだろうか?
「都市化が進み、屋内で働く職業が増えたことで日照曝露の減少に繋がっています。また、近年は猛暑、酷暑のため、屋外での活動がより制限されるようになった」(桒原さん)ことも大きい。
背景として指摘されるのは、日照曝露の減少と紫外線を避ける行動のようだ。
実際、屋外での仕事は昔に比べ減少しているし、真夏に出歩くことは命に関わるとして「熱中症アラート」も頻繁に発令されるご時世だ。
日傘の日常的な使用や強力な日焼け止めの一般化も影響しているのかと思いきや、それはそこまで影響はないという。
というもの、「日焼け止めを塗るシチュエーションというのは、屋外で活動しているということ。日焼け止めをいくら塗っても、ある程度紫外線が透過する状態になっているため、ビタミンDが生成できている人が多い」(桒原さん)のだという。
日焼け止めを適切な分量を塗って、効果的に使えていないのは残念ではあるが、それでもビタミンDの観点から見ると、屋外に出る機会が多いことは体にとってプラスに働いている。
また、日本人の食生活の変化も大きな要因だという。
「日本は従来、魚食が多く、魚から自然にビタミンDを摂取できていました。しかし、現代は魚を食べる機会が減少している。国民健康・栄養調査でも、特に高齢層に比べ、若年層はほとんど摂れていません」(桒原さん)
つまり、日光の下に出る機会も減り、魚も食べていないとなると、ビタミンDがほとんど体にない状態ということだ。「加えて、日本では、サプリメントの利用やビタミンD強化食品の普及が十分に進んでいないことも大きい」と桒原さんは言う。


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