こうして “猫の動線”と“猫の居場所”を中心に設計されたOさん宅は、猫にも人間にも快適で心地よい場所になりました。
猫の多頭飼いの悩みを設計で解決、猫も人もハッピーに
共働きの夫妻が4匹の猫と暮らすことは、それぞれの性格の違いや相性、 ストレス、ご飯のタイミング、喧嘩がヒートアップしたときの対処、生え変わり期の抜け毛など、悩みは少なくありません。それでも、新しい家には、 それらの悩みを解決する工夫が随所に盛り込まれていました。
「まず、4匹それぞれに“お気に入りの場所”を選べるようになり、のびのび過ごすことが日常になりました。猫たちも自分たちなりに好きな過ごし方を見つけたようで、運動量はもちろん、窓の外を眺める時間も増加。ストレスが減ったのか、猫同士の喧嘩もほぼなくなりました」とご夫妻。
「掃除や家事がラクになったことはもちろん、リビングのソファに座って、猫たちを眺めているだけで幸せです。キャットウォークも、猫たちが想定外の“マイルート”をつくりだして楽しんでいる姿に驚かされたり、見ていて飽きない。休日は家でゆっくりと過ごす時間が増えました」というように、夫妻の暮らしも大きく変わりました。
「猫たちを見ながら『この家を建てて良かったな』と思います」というOさんに、これから家を建てたい方へのアドバイスを伺うと「猫の家を理解してくれる人との出会いが重要。まずは問い合わせたり、施工例を見たりして、気になった建築会社や設計者と話すことが大切だと思います」と話してくれました。
大切なことなのに、見落としがちな猫の日常生活に寄り添ったOさんのお住まい。
例えば、トイレひとつをとってもそう。人間の目につきにくい場所に置くことが多いトイレを、あえてリビングの見える場所に置いたのも、「毎日のうんちやおしっこの量や回数などをチェックして、小さな変化にもすぐ気づけるようにしたかった」という理由からでした。設計段階ではトイレの近くに換気扇をつけただけで匂いが解消するかどうか心配もあったそうですが、友人が訪ねてきたときも、「匂いがしない」と驚くほど。猫砂の飛び散りを防ぐ“立ち上がり”を設けたのも正解でした。
こうした細やかな工夫はすべて、「猫たちとどう暮らしたいか」をリアルな視点で考えた結果。Oさん宅は、猫の行動や健康を第一に考えたからこそ、満足できる住まいになりました。
家は住む人の思いを映し出す……。Oさん夫妻の家づくり物語は “猫が主役の家づくり”がどれほど豊かな暮らしを生むかを教えてくれます。
取材・文/佐藤由紀子

