ともあれ、商店街を通るより、直通連絡通路を通ったほうが歩く距離は短くなる。全天候型、つまり屋根付きの通路だから雨雪が降っても苦なく2つの駅を行き来できる。ただ、駅は便利になったとしても、商店街の活気が失われるとしたらどうだろう。前出・三和エステートの奥村さんは次のように話す。
「5万人のすべてが新しい通路を使うとは思えません。最悪でも半分くらい、2万5000人は今までと変わらず商店街を通るだろうと思っています」(奥村さん)
とにかく純粋に乗り換えだけが目的であれば、直通通路を使えばいい。これを選ばず、あえてこれまで通りの道を歩く人たちは、秋津の商店街に何かしらの魅力を感じていると言えるのではないか。なじみの焼き鳥屋を目指す人もいれば、単純に街の賑わいそのものを味わいたい人もいるだろう。街の真価が問われるのはそこからなのかもしれない。
パラレルワールドの入り口があるようにも思えてきた
取材のため、秋津と新秋津を何回も往復しているうちに、日が暮れてきた。新秋津駅から西の空を見やると、夕焼けの向こうに線路が延々と続く。なんだか、そこにパラレルワールドの入り口があるようにも思えてきた。
秋津は、東京と埼玉の境界だからこそ住みやすいと三和エステートの奥村さんは教えてくれた。また、いろいろな街の境界線が集まっているからこそ、パラレルワールド伝説が生まれたのだろうと、私は思っている。西の空に昼と夜の境目を見ながら、そんなことを考えたのであった。


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