第二報でも、販売管理システムは「さくらのクラウド」などのサービス提供環境とは別のシステムだと明記されている。この区別は必要である。それでも、わが国のデジタル基盤を担う企業で不正アクセスが起きたという事実は軽くない。被害件数だけで今回の事件を評価できない理由がここにある。
アサヒGHDやニチレイとは性格が違う…
最近の大規模なサイバー攻撃では、アサヒグループホールディングスやニチレイの事例が記憶に新しい。
これらの事件では、攻撃によって企業の業務システムが止まり、商品の受注や出荷など実際の事業に影響が出た。ランサムウェアをはじめ、システムを使えなくする攻撃は外から見ても被害がわかりやすい。
今回のさくらインターネットの事件は、少なくともこれまでの公表内容を見る限り、様相が異なる。8月9日に異常を検知し、その調査からレンタルサーバーへの不正アクセスが見つかった。さらに調べた結果、それ以前に販売管理システムにもアクセスされた可能性が浮かび上がった。
ここに今回の事件を見るうえで大切な点がある。攻撃を受ければ、必ずサーバーが止まるわけではない。画面に身代金要求が表示されるわけでもない。通常どおりシステムが動き続け、その裏側で侵入者が活動している場合がある。
第一報と第二報の間は、わずか2日だった。この短さは、調査が急速に進んだことを示す一方、最初に確認された583アカウントだけでは事件の全体像を説明できなかったことも示している。
第一報を受けて、さくらインターネットは不正アクセスに使われた可能性のある認証情報を失効させ、マルウェアを除去し、アクセスを遮断した。さらに外部の専門機関を交えたフォレンジック調査に入った。その調査対象を広げる中で販売管理システムへのアクセスの可能性が見つかった。
したがって第二報が伝えた意味は、単なる「被害人数の上方修正」ではない。第一報ではレンタルサーバーの一部環境が問題だった。第二報では、調査対象が会社側の販売管理システムへ広がった。しかも、そのアクセスは最初の異常検知より前に起きていた可能性がある。


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