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「売れない」iPhone Airが首位に立った理由、9月に交代するアップル新CEOが進める「選択肢」の戦略

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発売以来「売れない機種」と言われ続けてきたiPhone Air
発売以来「売れない機種」と言われ続けてきたiPhone Air(写真:筆者撮影)
  • 草刈 和人 テックメディア「ゴリミー」運営
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返ってきた答えは揺るがなかった。「それをトレードオフだとは考えていない。私たちはイノベーターだから」という趣旨である。常に新しくてワクワクする機能を作り続ける一方で、お気に入りを長く使いたい人にも、使い終わったら家族に譲りたい人にも応えていく。だから両方のタイプに向けてイノベーションしているのだ、と説明された。

聞いた瞬間は正直、質問をかわされたようにも感じた。だが考えるほど筋が通っている。これは「新しいものが欲しい人」と「長く大切に使いたい人」という、望むものが異なる2種類の顧客に、それぞれ全力で応えようとしているだけの話だ。イノベーションもやめないし、OSアップデートを長く提供して古い端末も見捨てない。両極端を、どちらも本気でやる。

そしてこの姿勢は、実際に数字として表れている。同じブリーフィングで示されたのは、排出量が最多だった2015年と比べて温室効果ガスを60%削減しながら、同じ期間に売り上げを78%伸ばしたという一組の数字だった。環境負荷を下げれば成長が鈍る、という前提そのものを崩している。長寿命化と収益、環境と成長という、相反すると思われがちな組み合わせを両立させる考え方が、この会社には一貫して流れている。

5段階が「囲いの内側」を向く理由

ラインナップの話に戻れば、2種類の顧客に応えるという発想は、5段階の階段の意味を説明してくれる。

世界のスマートフォン市場でアップルのシェアは約19%で、約20%のサムスンに次ぐ2位だが、高い平均販売単価とサービス収益で利益を確保する構造は変わっていない。台数で競う会社ではない。だから選択肢を増やす目的も、他社とは向きが逆になる。サムスンやシャオミが新しい買い手を取り込むために品揃えを広げるのに対し、アップルは既存のiPhoneユーザーが次に選ぶ先を厚くするために階層を増やしている。囲いの外へ出ていくのではなく、囲いの内側の選択肢を設計する。

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