そしてNothingは、あえて増やさない選択をした。同社は26年に新しいフラッグシップを投入せず、25年7月に発売したNothing Phone (3)をそのまま主力として据え置き、ミドルレンジのAシリーズ拡充に集中する方針を明らかにしている。
26年1月15日には初のエントリーモデルNothing Phone (3a) Liteを4万2800円で投入した。直販5万4800円からのNothing Phone (3a) より1万2000円安く、価格に段差をつけている。3月にはPhone (4a)シリーズが続いた。年次更新という業界の慣習を降りて、価格の刻みだけを増やす判断である。
対してアップルのiPhone Airは、薄さという単一の価値のためにバッテリーとカメラを譲った製品だ。万人向けに最適化した中間機ではない。ひとつの価値に振り切り、他を削る。大画面という誰にでも伝わる差別化を担っていたPlusを廃してAirに置き換えたことも、同じ判断の表れと見ていい。
サムスンが形状で割り、グーグルが体験で寄せ、シャオミがブランドで分け、Nothingが刻みだけを増やす。そのなかでアップルは、価値軸を尖らせて分ける。並べる基準そのものが違う。
「長く使えたら新品が売れない」への回答
ここで疑問が生まれる。アップルは「iPhoneをできるだけ長く使ってほしい」と公言しながら、機種を細分化して選択肢を増やしている。買い替えを促したいのか、抑えたいのか。
筆者はこの点を、26年7月にアップル本社のApple Parkで受けた環境・サステナビリティに関する取材の場で、直接ぶつけている。M1チップ以降、アップル製品は明らかに長く使えるようになった。長寿命化が進めば次の新製品が売れなくなり、収益にはマイナスに働くのではないか、という質問だ。


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