ヤン副社長はコストについて、「技術的進歩が一定の段階に達した時に、新しくコスト効果の高い技術が開発される」とコメントしている。現状はまだその段階になく、モデル間のコスト差も小さいという。さらに継続的な技術開発が必要、ということだろう。
若者層の「関心の薄さ」攻略がカギに
その上で、サムスンが進めるのは「タッチポイントの拡大」だ。
前出の小林CMOは、折りたたみスマホ最大の課題は「関心の薄さ」だと話す。
「世の中に『折りたたみスマホというものがある』ことは多くの人が知っているものの、まだ、どこか自分とは無関係なものとして認識されている。『ドラマなどで見たことはあるけれど、実在するんだね』と言われることがいまだに多く、我々の努力不足でもある」(小林CMO)
そのため、折りたたみスマホ自体を体験できる場所を増やし、その価値を知り、実際の手触りを確かめる人を増やす……というのが、同社における直近の課題となっている。イベントなどの展開はもちろん、家電量販店などでの展示を拡大し、タッチポイントは前年比で2.6倍になったという。
その上で「手は届きそうだけど価格がネックになっている若い世代に向けて、分割払いプログラムや携帯電話事業者での販売プログラムの仕組みを、いかに分かりやすく提案できるかが勝負」(小林CMO)と話す。若者向け施策については、SNSでの言及量拡大も含め「手応えを感じている」(小林CMO)という。
サムスン電子ジャパン・常務兼MX事業本部 副本部長である大橋秀俊氏も「販売チャネルの拡大が重要」と語る。
現在サムスン製品は、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの大手4社全てで販売している。日本では大手携帯電話事業者経由でのスマホ販売が多く、4社との連携は非常に重要だ。だがそれだけでなく、「携帯電話事業者を介さない直接販売も増えており、チャネルを網羅的に広げている」(大橋氏)ところだ。
今年はメモリ価格高騰の影響もあり、スマホ市場全体の出荷台数が落ち込むのは確実だ。その中で、スマホメーカーは高付加価値製品の販売に力を入れている。
サムスンの折りたたみ戦略もその一環ではあるが、ライバルが出てくる中でどこまで認知を高め、販売を増やしていけるのだろうか。ハイエンドスマホの売上はスタートダッシュが命、と言われているが、それを覆し、幅広い層に売るための認知獲得競争がさらに激しくなりそうだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。