薩摩先生:臨床をしていると、医学教科書に違和感を覚えることがあります。
馬場先生:そうなんです。昔の歯科の教科書には「加齢に伴い人間の噛む力(咬合力)は低下する」と書いてありました。でも現場で治療をしていると加齢にともなって変わらないどころか、先ほどの80歳の女性のようにむしろ強くなっているケースさえあります。
薩摩先生:加齢による身体機能の低下は、単なる「年をとったから仕方がない」とあきらめる時代ではありません。むしろ重要なのは、その人がどのような環境でどのような習慣を続けているかにかかっています。
馬場先生:確かにそうですね。昭和の時代は子どもから大人まで抜歯の一番の原因は虫歯でした。しかし、歯磨きの徹底が行き届いてから、小学生の歯科検診でもほとんど虫歯のある生徒さんはいません。これは毎日の歯磨き習慣のおかげです。近年では、歯周病や食いしばりなどによる破折(歯が折れること)が主な原因です。
薩摩先生:歯磨きと同様に機能が衰えないように小さなセルフケアを習慣にしていけば、「老け」を止められると、現場ですごく感じています。
食いしばりによる唾液減が全身の病を招く
馬場先生:歯科の分野では虫歯予防から歯周病予防がトレンドで、機能といえば唾液にも注目が集まっています。
薩摩先生:前回、お話をしたように現代社会は交感神経が優位な時代。唾液は副交感神経が働くときに出やすくなるので、交感神経が働きっぱなしで食いしばっている状態では、必然的に唾液の量が減ってしまいます。
馬場先生:唾液が減れば口内の細菌バランスが崩れ、口の中の細菌が全身を回って病気を引き起こす可能性もあります。例えば歯周病菌が大腸がんや認知症と関係していることがわかっています。
薩摩先生:「脳腸相関」ならぬ「口腸相関」ですね! だから口内のケアは非常に大事なんです。
馬場先生:口の中をケアすることは、いつまでも健康で、全身を若々しくする、アンチエイジングに直結します。


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