そして、唐津。「唐津」という固有名詞で語られ、「佐賀の唐津」と、枕詞を寄せ付けないように感じるのは私だけだろうか。城下町であり、佐賀にいながらにして早稲田で学べてしまう早稲田佐賀中高があり、そして何よりも、福岡の地下鉄から一本で行けてしまう便の良さ。抜け駆け感がすごい。
ちなみに、前編で紹介した呼子のイカも唐津である。福岡のフリをしておきながら、佐賀いちばんのご馳走はしっかり握っている。ちゃっかりしている。とはいえ、そうやって佐賀を抜け出そうとする独自路線もまた、佐賀なのだ。
もう、さがさないでください。佐賀県
筆者の地元、嬉野にも2022年、新幹線の駅ができた。駅のない町にいきなり新幹線だ。それはもう、鼻高々だった。
しかし、佐賀では新幹線だって、乗り換えが必要だ。博多から長崎へ向かうには、途中の武雄温泉駅で在来線特急からホーム向かいの新幹線へ乗り換えなければならない。博多まで特急で約40分の佐賀駅に至っては、部分開業した今も、新幹線と所要時間がまったく変わらない。この中途半端さよ。だから佐賀なんだと納得してしまう。
それでも、佐賀の暮らしは悪くない。買い物や都市機能は近隣県に任せて、注目を集めることなく、のびのびと暮らせる。
ところが最近、様子がおかしい。魅力度ランキングでは下位常連のはずなのに、「佐賀駅前の地価上昇率が全国の県庁所在地でトップになった」と新聞が報じたのだ。来春には『地球の歩き方 佐賀』の発行も決まったらしい。立て続けに佐賀が話題になるなんて、ブームの予兆を感じる。
ここまで散々来てほしいと言ってきたが、正直に言えば、注目を浴びて地価が上がっては困る。どうか盛り上げないでそっとしておいてほしい。ほかの佐賀県民も、もしかしたら同じことを思っているんじゃないだろうか。
「さがしてください」と言っておきながら、いつまでも見つからないでいたい。それが、佐賀の当たり前なのかもしれない。


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