会社の理解もあり、仙台市で大黒屋のFC(フランチャイズ)店を運営する契約を結び、2012年に「仙台買取館」を設立。その後に起きたコロナ禍も乗り越えて事業を拡大し、現在、同社の年商は約10億円、経常利益は同2500万円になった(2026年6月期)。
実店舗は仙台市内に4店舗、盛岡市(岩手県)に1店舗を展開する。この事業基盤が着物の買い取りをはじめとする「サムライアロハ」事業にもつながっている。
この間、家業の立て直しにも奔走した結果、再興を果たす。櫻井氏の母は現在もデイサービス会社を運営している。デイサービス事業で見聞した「高齢の利用者やその家族から、遺産分配や形見分けのトラブルをよく耳にする」経験が、現在、仙台買取館が力を入れる「出張商品鑑定・適正な遺品買取サービス」にも反映された。
「着物を所有したい」「空港出口で買う」客
「サムライアロハ」の取り組みに戻ろう。同事業が興味深いのは、櫻井氏が実務で培った経験を生かし、デザイン戦略や立地戦略に基づく消費者訴求を行うことだ。
商品は、いかにも着物リメイクではないデザインを追求し、Tシャツ(8800円)やパーカー(1万8700円)も用意するようになった。どんな視点で開発しているのか。
「毎日ブランド品を見ているので、今のトレンドはわかります。バックプリントで主張したい時代なので、Tシャツやパーカーのバック部分に着物を縫い付けた商品も多いです」
入荷した着物によって変わるが、裁断はファッションセンスが高い女性(前述の子育て中の女性)が担当。縫製は福島県、岩手県の縫製会社が担う。どちらも海外のハイブランドの縫製を手掛けており、震災で被害を受けた経験を持つ。


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