「コミュニティの仲間や、活動を通して知り合った皆が、SNSやZoomでたくさん声をかけてくれたんです。『頑張って』っていう言葉以上に、『待ってるよ』の一言がすごく嬉しくて。『自分の帰る場所は、こんなにたくさんあったんだ』って実感できました」
かつては「自分だけが取り残されている」と感じた梅津さん。しかし、年月をかけて築いてきた仲間たちとのつながりが、今度は画面越しから自分を支えてくれた。
「調子の悪い日や手術前なんかはもちろん落ち込むんですけど、その度に画面越しに『もう聞いてよ〜』って世間話みたいに愚痴ったりして(笑)。
夫も毎日のように外の景色を動画で撮影して、私に送ってくれました。『退院したら◯◯に行こう』『元気になったら焼肉を食べに行こう』って、日常の小さな楽しみをたくさん作ってくれたんです。『一人じゃない』って思えたことが、私にとって本当に強力な心の栄養になりました」
以前の入院時には「死んでしまいたい」とまで思った梅津さんは、今回の入院では最終的に「私はまた絶対に這い上がれる」と思うことができた。
「世界を舞台に」パラダンスが人生を前に進める
5度にも及ぶ手術を乗り越え、梅津さんは2021年11月に退院。その後しばらく自宅療養を続け体調が落ち着いてきた頃、梅津さんのこれまでの活動を見ていた関係者から声がかかり、車椅子モデル役としてミュージカルに出演することになった。
出演時間はわずか2分ほど。それでも、舞台に立って表現することの楽しさを、梅津さんは改めて実感した。
「表現するって楽しい、踊るって楽しい!ミュージカルに出て、心からそう思いました。その公演終了後に、今度はミュージカルを通じて知り合った方から『パラダンスをやってみない?』と誘われたんです」
そこで紹介されたのが、現在梅津さんが所属する「一般社団法人日本パラダンススポーツ協会(JPDSA)」だ。
パラダンスとは、専用の競技用車椅子を使い、社交ダンスをベースに舞台で踊る芸術スポーツのこと。複数の競技種目があり、国内外でさまざまな大会が開催されている。
「最初はエクササイズ感覚で始めたんですが、この団体が世界レベルの選手や指導者の育成を目標に掲げていて。『それなら私も、選手として世界に挑戦してみたい』と思うようになったんです」
難病を抱え、車椅子で生活する自分が、世界を舞台に競技に挑戦する? かつての梅津さんからすれば、想像もつかなかった未来だった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。