元来明るい性格の梅津さんだが、退院後もすべてを前向きに捉えられていたわけではない。
「病院から一歩外の世界に出たら『自分は障害者なんだ』って現実を突きつけられて。杖があれば少し歩くこともできたので、体が少しつらくても、外出時は少しでも健常者に見えるよう振る舞ってしまう自分がいました」
“自分らしさ”を取り戻す、ターニングポイント
無意識に本当の自分を隠しながらも、「自分にできること」を模索する日々。どこかすっきりしない毎日を送っていた頃、梅津さん夫婦はファッションショーへの出演を打診される。
「ひょんなことがきっかけで、車椅子ユーザーのオーダーメイド服を作っているデザイナーさんと知り合って。その方からお声がかかったんです。もともとファッションは好きなので興味はありましたが、『本当に私なんかが出ていいの?』っていう迷いもありました」
それでも「夫が一緒なら」と、勇気を出してステージに立つことを決めた。
当日は、車椅子のままウェディングドレスを着てランウェイへ。ショーが終わると、周囲から次々とこんな言葉をかけられた。
「すごく素敵だった!」
その言葉を聞いた瞬間、退院後の梅津さんが抱えていた心のわだかまりが、するすると解けていった。
「車椅子のままの私を認めてもらえた!もう自分を偽らなくていいんだ!って。無理をして健常者のように見せる必要はないって、ショーの後に心の底から思うことができたんです」
この経験は単なるファッションショーへの出演ではなく、梅津さんの中で失いかけていた“自分らしさ”をもう一度取り戻す、人生のターニングポイントとなった。
本当の意味で自分を受け入れられるようになった梅津さんは、その後障害者向け雑誌のイベントに参加したり、障害を抱える女性のためのコミュニティを立ち上げたりと、日に日に活動の幅を広げていった。
「『BEYOND GIRLS』という3人組の車椅子チャレンジユニットを結成して、ライブや講演会も開きました。当時は多様性を尊重する考え方が社会に広がり始めていた時期で。その追い風もあって、ありがたいことに予想以上にたくさんのお仕事を任せてもらいました。自分が前に出ることで、障害のある方が『自分も何かやってみたい』と感じてくれたらいいなって」


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