ただし、出会った当時のダニエルさんは、2カ月前に本国で結婚したばかりの既婚者。結婚指輪を見せながらも屈託がありそうなダニエルさんを、香織さんはやや上から目線で「面白い」と直感したようだ。
「最初から4時間も一緒に過ごしてしまいました。彼は10年間付き合った彼女と結婚したけれど、すぐに子どもを作りたい彼女といろいろな価値観が合わないと言うんです。私は『そんな結婚で幸せになれるの? もっと自分を大切にしなよ』と説教しました。奥さんから奪うつもりなんてまったくなかったけれど、年下で素直でかわいい彼を気に入っちゃいましたね。既婚者相手は初めてだったけれど、出張中のロマンスでいいかなと思って、どんどん深みにハマって……。あの頃は開放的になっていたのだと思います」
ダニエルさんの日本滞在2カ月間で恋愛を久しぶりに満喫したと振り返る香織さん。その期間に彼を決定的に「いいな」と思った出来事がある。ダニエルさんが自分の誕生日を沖縄で祝いたいと言い出して実行したことだ。
「出張中で休みが連続して2日しか取れず、1泊で行きました。それでも、自分自身の誕生日に特別な旅をするなんて素敵です。自分を大切にしている証拠だし、私に頼らずに旅行を計画したところもいいなと思いました」
しかし、出張にも不倫にも終わりの日が来る。ダニエルさんは、「僕の結婚という選択は間違っていたかもしれない」と言いつつドイツに帰った。香織さんも良い思い出としてきっぱり諦めたつもりだった。
ところが、意外にもダニエルさんからすぐに連絡が来た。わずか2カ月後に、有給休暇を使ってまた日本に来て香織さんと一緒に過ごしたいというのだ。
「ドイツの企業は休みが多いので、数日間だけではありません。また2カ月間も日本に滞在してくれました。すぐに戻って来て長くいてくれたことが嬉しかったです」
そして、2025年末にはダニエルさんの離婚が成立。日本にあるドイツ系企業への転職も決まり、今年の春に日本で香織さんとの婚姻届を提出した。結果的に略奪婚という形になったが、ダニエルさんの前妻はすぐに再婚し、念願の子どもを出産したという。
「これからは養ってもらう人生がいい」
だが、香織さんは結婚願望がなかったはずだ。ジェシーさんともロドリゲスさんとも長く付き合って結婚には至らなかったのに、なぜダニエルさんとは出会って2年も経たずに決められたのだろうか。香織さんは真顔で本音を聞かせてくれた。


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