「無職――」
7月17日、東京地方裁判所の法廷に現れたAI新興企業オルツの元CFO(後に社長)日置友輔被告は、裁判長に職業を聞かれると消え入りそうな声でこう答えた。
白いシャツと紺のスーツで証言台に立った日置被告は裁判長から名前や生年月日を聞かれた際も返答の声が小さく、聞き返される場面もあった。「饒舌でプレゼンがうまかった」(個人投資家)とされるかつての面影はまるでなかった。
2024年10月に上場したものの、翌25年に粉飾決算が発覚した後に民事再生法申請、上場廃止となったオルツ。同社の事件では、今年5月25日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪で、元営業部門長と元経理部門長に対して懲役3年執行猶予5年、法人としてのオルツには罰金3億円が言い渡された。量刑はともに検察の求刑通りだった。元部門長2人はもともと起訴内容を認めており、控訴もせずに判決は確定、オルツは控訴している。
7月17日に開かれた日置被告の初公判では、同被告も起訴内容を認めた。
不正の実態については、25年7月末に開示されたオルツの第三者委員会の調査報告書で、売上高の9割が架空取引であったことや「SP取引」とオルツが呼んでいた循環取引の様子が明らかにされている。ただし、報告書では循環取引の取引相手はアルファベットで記載されており、具体的な社名は伏せられていた。
日置被告の初公判では、検察側が冒頭陳述でSP取引にかかわっていた広告代理店や販売店を明らかにしたほか、日置被告が採用された背景なども説明。オルツ内部で何が行われていたのか、より鮮明に浮かび上がってきた。
検察側陳述で明かされた「不正加担先」の社名
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