しかし、学校現場では、民間企業とは異なる価値観や慣習に戸惑うこともあった。とりわけ現在の勤務校で感じているのは、校長の考え一つで学校のルールや運営方針が大きく変わることへの違和感だ。
勤務校の校長は、一人ひとりの生徒のありのままの姿を大切にしようという方針を掲げている。この方針には良い面もある一方で、現場で指導する教員としては戸惑う部分もあるという。
「不登校や学校になじめない生徒に柔軟な対応をすることは、学校として大事なことだと思います。でも、『そのままでいい』『どんなことも許される』がポリシーのようになると、指導が必要な行為に対しても強く言えなくなるんです」
制服着用などのルールが緩和され、異装や染色、ピアスなどについても対象生徒を校内から排除せず、黙認するようになった。さらに、スマートフォンやたばこの持ち込み、喫煙、器物破損なども起きているという。注意しても、生徒が持ち込んだ物を隠したり、嘘をついたりすることが珍しくない。
「学校の物を壊されることは結構あります。たとえ周囲に目撃した生徒が複数いても、本人が否定し、保護者から『先生はうちの子が壊した現場を見たのか』と問われれば、防犯カメラがあるわけではないので、証拠がないまま追及することは難しい。保護者が学校側の話を受け入れず、教員を敵だと捉えてしまうと、話し合いを進めることもできません」
女性教員に向けられる暴言と暴力
中田さんはこれまでの勤務校でも、たばこを吸う、トイレを壊す、机を投げるといった生徒に対応してきた。
「言っても聞かない子は過去にもいました。でも、もう少し、教員がきつく言える雰囲気があった。もちろん体罰は行いませんが、ダメなことはダメだと学校として言えたんです」


※ログイン後、コメント入力が可能です。