――確かに……。それって数学の力じゃなくて、国語の力ですよね。
市野瀬:そうなんです。「この問題は何を聞いているのか」を正確に掴む力――これは全教科に効きます。英語の長文でも、理科の実験考察でも、社会の資料読み取りでも、結局は「問いを読む力」が要る。だから国語ができる子は、他の科目でも自然と成績が上がっていく。
――逆に言うと、国語をおろそかにしていると、他の科目もどこかで頭打ちになる。
市野瀬:そうですね。よく「うちの子は数学は得意なんですけど、国語だけダメで……」って相談されるんですけど、私はそれを聞くと「じゃあ、その数学もいずれ伸び悩みますよ」ってお伝えします。だって、高校数学のトップレベルになればなるほど、問題文の意味を正確に読む力が必要になるからです。
――今の話、受験を頑張っているご家庭とか、これから受験を控えている子たちに、絶対に届いてほしい話ですね。
市野瀬:本当にそうなんです。「国語なんて後回しでいい」は、一番危険な発想なんですよ。
家庭でできることは?
――最後に、渋渋みたいに「1問10時間」の授業を受けられない普通の受験生や、そのご家庭が、国語を伸ばすために家で何をすればいいのか、教えてください。
市野瀬:私がいつもお伝えしているのは2つです。1つ目は、人と話をすること。自分と違う意見を持つ人と、フラットに話す機会を持つ。これが読解力の一番の栄養なんです。だって読解って、結局「自分と違う人の考えを、正しく受け止める作業」ですから。
――なるほど、対話そのものが読解力のトレーニングだと。
市野瀬:そうです。2つ目は、インプットしたことを、必ずアウトプットすること。本を読んだら、要約する。ニュースを見たら、Xでもいいから自分の言葉で書く。読書感想文でもいいし、家族に「今日こんな本を読んだよ」って話すのでもいい。インプットしっぱなしにしない。これだけで、読解力は驚くほど伸びます。
――「1問10時間」の授業も、結局やっていることは、それですもんね。個人で読んで(インプット)→議論して(対話)→書き直す(アウトプット)。
市野瀬:まさにそうです。だから、家庭でもこの3ステップは再現できるんですよ。
――なるほど、今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。


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