でも、これほど完璧に見えて、なぜ100点満点ではなく「98点」なのか?
じつは、この「マイナス2点」にこそ、リーダーシップの最終段階が隠されているんです。この解答は完璧ですが、あくまで「個人の美学」で完結している「孤高の天才」というイメージです。
ここからさらに、「不完全さの中でしか、私たちは他者と手を取り合えない」といった「組織」や「共同体」への視点が加われば、その哲学は「世界」を変える力になります。
ビジネスパーソンが解くべき「教養的思考」の入試問題
同種の思考を問う出題は、東大に限りません。
新刊『最難関大学の予想問題で鍛える 一生食える地頭力』では9大学の問題を分析していますが、ビジネスの現場感覚で読むと特に面白い4つを挙げます。
以下は、本書で取り上げた入試問題を、私自身がビジネスの現場に引き寄せて読み解いたものです。
長大な字数制限の中で、複数の知識を有機的に統合し、歴史的因果関係や社会構造の変化を体系化して表現する。これは経営企画やコンサルタントの仕事そのものです。事実を並べるのではなく、事実を「設計図」に組み替える力が問われます。
私が注目するのは、完成された実績そのものより、そこに至るまでの試行錯誤をどう言葉にするかという点です。うまくいかなかった経験や迷いをどう受け止め、そこから何を考え、どう変わったのか。そうした「ゆらぎの履歴」には、その人の思考の癖や人間性が表れます。整った成功談だけでは見えない部分にこそ、その人らしさがにじむ。これは、マティスの問いとも地続きです。
「自分」を蚊帳の外に置いて論評している限り、真のコミュニケーションは成立しない。当事者として思考する態度が問われます。組織変革の場で、評論家になった瞬間に何も動かなくなる――あの感覚と同じです。
100語という厳しい制約の中で、専門知と倫理を接続した主張を求める。多角的で成熟した視点を、短く言い切る。AIガバナンス会議の縮図のような設問です。
いずれも共通するのは、知識の在庫量ではなく、知識を自分の立場から編み直す力を測っている点です。


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