しかし、問題は、「正しいこと」とはなんだ? 何が正しいか、立場により、見方により、異なる。だから、難しんじゃないか! と読者と日銀の方々の声が聞こえてくる。
「物価の安定を通じて、日本経済の発展に資する」、ただそれだけ
違う。正しいことはただ1つ。日本経済の発展に資するために仕事をすることである。それを物価の安定を通じて行う。ただ、それだけのことなのだ。
政治的配慮はしてはいけない。それは日本経済の発展に資さないからだ。資するように、独立したのだから、配慮してはいけない。よく理解してもらうまで説明は徹底的にすればよい。それと意向に沿うことはまったく違う。意向に沿ってはいけないのだ。それは、ボスに、つまり、国会に、国民の意向に反する。
FRB(連邦準備制度理事会)ジェローム・パウエル前議長も、ケビン・ウォーシュ議長もスピーチで強調したように、中央銀行は、大統領のために仕事をするのではない。「パウエル的」に言えば、アメリカ市民のためであり、「ウォーシュ的」に言えば、国民の代表である議会のためである。日本銀行もまったく同じだ。首相でも大臣でもない。国民のために仕事をするのである。それが唯一、首相のためにもなる道だ。なぜなら、首相は、日本経済、日本社会がいちばん大事だと世界中でもっとも深く思っている人だからである。だから、日本経済のためになることしか、首相のためにできることはないのだ。
マーケットに配慮してもいけない。ウォーシュ議長が言ったように、彼らは、中央銀行の政策を投機的材料として消費する人々ではないはずだ。それは投機家であり、敵である。金融市場は、日銀が正しい金融政策を行うことを、何よりも望んでいる。
正しいこと。物価を安定させる。インフレならば、金利を上げ、金融引き締めをすること以外にない。供給コストを直接コントロールできないにしても、景気が良く、失業が実質的にないときに、緩和を続ける意味はない。しかも、近年経験していないインフレが5年以上続いており、経済の主体である国民、消費者がインフレにおびえている。日銀はそれを抑えること以外にやることはない。


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