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「共働き時代の転勤」という難題、日本企業はどう向き合うべきか 『転勤の社会学』藤野敦子氏に聞く

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『転勤の社会学 ジェンダー・家族から問う日本的雇用システム』の著者
『転勤の社会学』の著者、京都産業大学現代社会学部教授の藤野敦子氏(写真:藤野敦子氏提供)

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転勤経験は社員を育て、出世コースの扉を開く。多くの企業が前提としてきた価値観だ。しかし、総合職社員が転勤を受諾することを想定したシステムは、ほころび始めている。共働き時代との相性が悪いからだ。新たな時代、日本企業はどうすればよいのか。経済学と社会学の博士号、専業主婦経験を持つ研究者が、丹念な調査・分析からヒントを示す。

──転勤を分析対象とする研究は、ありそうでなかったのでは?

『転勤の社会学 ジェンダー・家族から問う日本的雇用システム』(藤野敦子 著/勁草書房/4400円/336ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

実際、先行研究はほとんどなかった。いちばんの理由は、政府統計など分析に使える公的なデータが存在しないことだ。転勤や単身赴任が社会問題となった1980年代にはさまざまな調査が行われたが、継続されなかった。

また、年当たりで見た転勤者の割合は被雇用者全体の2%程度にすぎない。私自身は結婚後しばらく専業主婦として配偶者の国内外の転勤に帯同した。「転勤族」の家族を含めれば、企業や官庁が命じる転勤によって人生に影響を受けている人は多いと思う。

とはいえ、データすらないのに、被雇用者のごく一部に起こる、日本特有の雇用慣行と結び付いた事象を研究して何になるのかと。第2子を出産し大学院に戻った2000年当時、転勤は主流派経済学の研究テーマになりえなかった。

──本書のタイトルは『転勤の社会学』です。社会学では違うアプローチが可能なのでしょうか。

転勤を「社会の構造の中に組み込まれているもの」として捉え、社会学の手法を使えば研究できる。それに気づいたのは、勤め先の大学の社会学部新設に際してカリキュラムづくりや授業を担当することになり、準備のため社会学を学び始めたときのことだった。

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