近年、ジョージアの国内政治は混迷を極めている。
2012年に政権を握った与党「ジョージアン・ドリーム(ジョージアの夢)」は、次第に反欧米路線を顕著に押し出すようになった。2024年の選挙後には、EU加盟候補国のステイタスを得たにもかかわらず、自ら2028年末まで加盟交渉を停止すると発表するなど、親欧米路線は崩れつつある。
さらに2026年には、南オセチアとロシアとの間で「同盟関係の深化」に関する協定が結ばれ、事実上の併合の新たな段階に進んでおり、ロシアを過度に刺激することを避けざるを得ない状況に陥っている。
ロシア依存の絶望から離反を試みるアルメニア
アルメニアは旧ソ連諸国の中で最も国土が小さく、経済規模も小さい。陸封国であり、国境の8割が長年敵国であったトルコとアゼルバイジャンに接しているため、経済や安全保障での自立が難しく、安全保障とエネルギー問題で完全にロシアに依存してきた歴史がある。
エネルギーの多くをロシアから割安な価格で買ってきたが、支払えない部分がかさむと、ロシアに発電所などの重要インフラを次々と差し押さえられる「債務の罠」に陥っている。世界一危険と呼ばれるメツァモール原発も、国内電力の約半分を賄っているため止められず、ロシアの技術者がいなければ修理も保全もできないため、ここでも完全にロシアに首根っこを押さえられている。
そのような状況の中で、2020年以降の一連の事件が、アルメニアのロシアに対する不信感を決定的に深めて行くことになる。2020年の第2次ナゴルノ・カラバフ戦争、そして2023年のアゼルバイジャンによるナゴルノ・カラバフ全域の掌握に際し、安全保障の後ろ盾であったはずのロシアはアルメニアが期待したような支援を行わなかったからだ。
これを機にアルメニアはロシア離れを加速させ、2025年8月には米国のトランプ大統領の仲介により、長年の敵であるアゼルバイジャンとの歴史的な和平に合意した。この合意には、ザンゲズル回廊の開発・運営権を米国が最大99年間取得する「TRIPP」構想が含まれており、南コーカサスにおいてロシアやイランの影響力を低下させる地政学的な意味を持っている。

