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「女性を借金漬けにして風俗に沈めた大学生」と半グレのリアルを描く…"闇バイト"や"トクリュウ"に斬り込む小説家の覚悟

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鏡の前に下着姿で座る女性
近年、闇バイトや半グレ犯罪が社会を騒がせています※写真はイメージです(写真:Peak River / PIXTA)
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ーー書かれている内容はリアリティに富み、説得力があります。一方、物語としてデフォルメされているのでは、と思う部分もありました。すべてのディテールは事実を基にしているという理解でよろしいでしょうか。

その通りです。いまはネットで読者のいろいろな感想を読むことができますが、そのなかには「現実はこの物語とは違うと思いたい」「今どき、こんな昭和な会社があるわけない」という言葉をけっこう見かけます。それを目にするたびに無力感に打ちのめされます。

実際に大手広告代理店の女性社員が過労を苦に自殺した事件が10年ほど前にありました。広告代理店の贈収賄が社会的問題になったのも報道されている事実です。それすら覚えていないのか、最初から知らないのかわかりませんが、まったく意識にないわけです。自分が見たいものしか見ない。報道に接しても聞き流すだけ。本書で描かれているような悪を支えているのは、そういう君たちなんだよと言ってあげたいですね。

ーー広告代理店と政治家、反社会的勢力が利権に群がる構造など、その詳細な仕組みやそれぞれの役割、立ち位置などあまりに生々しい描写に衝撃を受けました。

調べていくと、広告代理店のルーツは戦前に遡ることがわかります。そこから、戦後に巨大企業になって、昭和から令和までいろいろな事件に関わっているんです。戦前から現在までそういう勢力が日本を支配している。その空気が伝わっているとしたら、著者としては嬉しい限りです。

ーー作中には、政治家へのキックバックのために、広告代理店が既定の事業を覆す場面がありました。そんなことが実際に起きているとしたら、憤りを覚えます。

そういう力学が働いていることを示すために、ああいうエピソードに集約させました。もちろんフィクションもあります。その場にいたわけではないので。ただ、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)がその典型ですが、教育現場も含めて、日本社会の至るところに見受けられるでしょう。とくに珍しいことではなくて、日本はそういうシステムで成り立っているという常識を書いたにすぎないと考えています。

「現実が短期間でここまでひどくなるとは」

ーー主人公の1人の海斗は、実際の事件の大学生そのままの人格です。作中で海斗は、自分はどこにでもいるありふれた普通の人間とし、彼を利用する反社の幹部はそういう人間が増えていると言います。彼のような自分本位で他人を慮れない人間が現代社会で増えているというのは、月村さんの考えでもありますか。

人の心がわからないという点で言えば、現内閣の面々を見ればそういう人ばかり。単なる現実です。そういう人たちが現実社会に大勢いることを、われわれはいままさに目の前で見せつけられているわけです。

本書は23年に発刊されましたが、当時よりも現在のほうがより切迫した読書体験になるのではないでしょうか。執筆時は、現実が短期間でここまでひどくなるとは考えてもいませんでした。

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