「ガチで合格を目指してなかったので、ほかの興味のある分野に時間を使えました」
これは、私が独学で東大受験に向かった時期の感覚と近い。私は中学時代、自宅学習時間を親から「1日30分」に制限されていた(詳しくはこちらの記事、結果的に大きな効果があった)。
時間が絞られると、人はどうすれば最短で理解できるかを必死で考え始める。「時間をかける」以外の手札を、強制的に育てる仕組みが働くのだ。Mさんの「本番3週間前スタート」も、原理的にはこれと同じである。リソースを絞ったからこそ、工夫が芽生えた。
「入試日程を、前日に知りました」
もう一人、静岡県浜松市の公立小学校出身、現在東京大学に在学中のNさんにも話を聞いた。彼の中学受験エピソードは、Mさんに輪をかけて緩い。
「中受の日程を知ったのが本番の前日でした」
塾には小5から週1で通っていたが、宿題はしなかった。姉が通っていた地元の公立中高一貫校を「滑り止め感覚」で受けた。ここまで聞くと、単に運がよかっただけの話に聞こえる。だが本題は、彼が入学後にどう伸びたかにある。
「中1のときは漢字がめちゃくちゃ好きで、中2は数学が好きみたいな感じで、学校の勉強と関係ないところまで自分で先に進めていました。学校がゆるい環境だったから、自分で勝手にやりたい勉強を悠々自適にできた」

