確かに、医学書では、期外収縮が3連発以上起こると、心室頻拍という病名がつきます。ただ、救急病院での経験も含め、30年以上の循環器専門医としての臨床経験から、「5連発程度までの期外収縮なら心配ない」というのが本当のところなのです。事実、私のクリニックの患者さんにもそう伝えていますし、3〜5連発の期外収縮が出た患者さんに治療をすることは基本的にはありません。
心不全や心筋梗塞を起こしたことがある方など、なんらかの基礎疾患がある方には治療を行うこともあります。しかし、ほとんどは私が考案したセルフケアに取り組んでもらっています。もちろん、それで問題が起こったことはなく、それどころか期外収縮の連発を改善させている方が多数いらっしゃいます。
専門医だからこそ感じる「医師は重い言葉を使いすぎ」
また、期外収縮の治療で抗不整脈薬を飲んでも、あまりいい結果が出ないというデータもあります。期外収縮に対し、「抗不整脈薬を飲んだグループ」と「飲まないグループ」を比較した追跡調査では、飲んだグループのほうが心臓死など、予後が悪かったという結果が出ているのです。
ですから、基礎疾患がない期外収縮の患者さんで薬を使うのは、期外収縮の出現とつらい症状のタイミングが完全に一致していて、なおかつ、その症状が「つらくてつらくてしかたない」という場合だけです。
割合で言うと、100人中2〜3人程度。ほんの数%でしかないのです。先ほど、2連発や3連発の期外収縮を、心室頻拍とするのは大げさとお伝えしたように、心臓にかかわることでは過大に診断する=重い言葉を使いすぎる医師はかなり多くいます。
循環器が専門ではなかったり、経験がまだ浅い医師だったりすると、特にその傾向があるようです。
健康診断で、1回でも脈がずれたら「期外収縮だから、すぐにでも循環器内科で診てもらいなさい」と言われる。人間ドックなどの血液検査で、心臓にかかっている負荷の指標になる数値(NTpro-BNP)が正常範囲を少しオーバーしているだけで、やはり「すぐに循環器内科に行きなさい」と言われる――。
そうした患者さんが数えきれないほどいらっしゃいます。しかし、基礎疾患がないなら、まったく気にしなくて大丈夫です。


