「まるで進撃の巨人の“壁”みたいだな」と目を丸くしながら、私は調査兵団になったつもりで、城壁の外側の探索を開始した。観光客は「壁の外の世界」には興味がないようで、人通りはほとんどない。エメラルドブルーの波が岸辺に打ち寄せる音、潮風の匂い、独特の色をした城壁……五感を震わせながら先へ先へと進んでいく。
道中には険しい場所もあった。崖のように切り立った道には落下防止の柵などはなく、もしも足を滑らせたら大変だ。極め付きの問題は、壁の内側に入るための「入り口」がまったく無いこと。5分、10分、15分……歩いても歩いても歩いても、壁の中に繋がる道が1つも見つからない。難攻不落の要塞都市、その防御力の高さを痛感させられた。
ようやく壁の中に入るための入り口、階段を見つけたのは、歩き始めてから30分が過ぎた頃だ。気が付けば世界遺産の街、その外周の約1/3をワークマンの靴で歩いていた。体も心もヘトヘトの状態で、私は要塞都市の“内側”へ……。
世界遺産の街。衝撃の光景
世界遺産に登録されている街並みは、圧巻の美しさ。石灰岩(マルタ・ストーン)で作られた建物がずらりと並び、道は遮るものが無く見晴らし良好。なおこの設計は、大砲で直線の敵を一網打尽にするなど、軍事目的の色が強かったそうだ。この街を築き上げた「マルタ騎士団」は精鋭のエリート集団で、“最強の騎士団”と呼ばれるほど強かったらしい。

