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井上会長が語るNHKの未来…「スポーツ・エンタメは公共放送の重要な役割、配信も含めて質の高い番組を提供していく」

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インタビューに応じる井上樹彦会長(撮影:梅谷秀司)

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NHK(日本放送協会)の新会長に井上樹彦氏が今年1月に就任した。企業経営者など長く外部出身の会長が続いてきたNHKにとって、政治部記者出身で副会長から内部昇格した井上会長は、橋本元一氏(2005-08年)以来、18年ぶりの生え抜きトップだ。
設立から101年目を迎えるNHKは、受信料収入の減少に直面し、収入減少に合わせた業務効率化、必須業務となったインターネット配信の強化、グローバル市場へのコンテンツ配信など、多くの課題を抱えている。そんな公共放送の今後の舵取りを聞いた。

スポーツやエンタメは公共放送の重要な役割

――NHKは今年のサッカーワールドカップ北中米大会で、日本代表の全試合を地上波とBS(衛星放送)で生中継し、録画を含めると全104試合を放送しています。ここまで力を注いだ理由は何ですか。

NHKがサッカーワールドカップを放送したのは、1978年のアルゼンチン大会からだ。それ以降、94年大会のアジア最終予選で敗れた「ドーハの悲劇」などを経て、日本が初めて出場した98年のフランス大会では、全64試合を放送した。(民放と違いCMがないから)われわれは試合中のハーフタイムにおける選手たちの表情や試合後のインタビューまで全部お届けできる。

今回、1次リーグ第3試合のスウェーデン戦では、地上波はもちろん、ネット配信の「NHK ONE」では782万回も再生された(7月2日時点)。これまで最高再生数だった25年大みそかの「紅白歌合戦」の749万回を上回り、今でも伸びている。瞬間の視聴率だけでなくネットでもう一度見たいというのが配信のいいところだ。ハイライトでは、テレビなら5分が通常だがスマホでは長すぎるので2分にした。スマホ向けを十分意識した作りにした。

サッカーという世界最高峰のスポーツを伝えたいというのは、NHKの一貫した思いだ。先日、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長と対談したが、日本のサッカーが強くなった理由の1つとして、テレビの役割が大きかったことでお互い一致した。

宮本会長自身も、少年時代にアルゼンチン代表のマラドーナ選手のゴールを見てサッカーの魅力を知り、それが02年の日韓大会に結び付いたと。さらに日韓大会やその後の大会をテレビ中継で見た少年たちが、今の日本代表の中軸になっている。

テレビでなく、スマホで見てもいい。それこそ何回も再生して「よし自分も頑張ろう」と今の瞬間に思っている小学生が10年後、20年後の日本を背負う選手になる。そういう役割をNHKは果たしてきた。

NHKは報道だけに集中すべきだ、という意見をいただくこともあるが、多くの人々に感動を届けるスポーツやエンタメは公共放送の重要な役割だと思っている。

井上樹彦(いのうえ たつひこ)/1957年生まれ。福岡県出身。80年早稲田大学第一文学部卒業、日本放送協会(NHK)入局。報道局取材センター記者となり、官邸キャップなど政治畑を歩む。政治部長や編成局長を経て、2014年理事。16年NHKアイテック社長、18年放送衛星システム社長、23年副会長。26年1月会長就任(撮影:梅谷秀司)

――スポーツは放送権料高騰が進んでいます。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では米ネットフリックスが放送権を買い、地上波で見られない人から不満も漏れましたが。

今回のWBCはそうしたことを考えさせる機会になった。(放送業界で)スポーツビジネスはオリンピックや米大リーグなどでもそうだが、放送権料の高騰には逆らえず赤字になる場合もある。

スポーツ中継を国民に満遍なく楽しんでもらうのも、NHKの非常に大きな役割であって、公共的使命だと思っている。例えば高校野球では夏の甲子園の視聴率が高く、今春のセンバツは初めてネット配信をした。選手は郷土の代表であり、ヒーローが時々生まれるような大事なコンテンツだ。

一方でスポーツにコストがかかることがわかった現在、視聴者に広く負担してもらう受信料で運営されるNHKとしては、金に糸目をつけず、というわけにはいかない。何か1つの強力なコンテンツのために、ほかに支障が出るようになってはいけない。

コンテンツの質・量は落とさない

――25年度決算を発表しました。単体の事業収入は6130億円で前期比微増、事業収支差金は318億円の不足で、3年連続の赤字でした。27年度の収支均衡は達成できますか。

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