奈良県が上告を断念したことについて、弁護団の室谷悠子弁護士は「危ない、危険だ、安全対策を、と住民が言い続けてきたことを、やっとわかってもらえた。県と住民が一緒に今後何ができるか検討するステージに、ようやく来た。ホッとした」と話した。
平群のメガソーラーを考える会の代表世話人、須藤啓二さんによると、県に対して「上告しないで」と訴える署名活動を行ったところ、1週間以内に3万2532人の署名が奈良県内をはじめ全国から集まり、県に提出したという。
土砂流出をめぐり、異なる事業者の説明と専門家の見解
2024年11月、2025年5月、2026年4月と、このメガソーラー建設造成地から3回の土砂流出事故が起きた。事業者は今年4月10日の3回目の事故について5月14日と30日に住民説明会を開いた。そこでの事業者側の説明と、土砂災害の専門家の見解は異なる。
事業者は、「4月10日に建設現場から流れ出た濁水は、盛り土からではなく、建設作業用の仮設足場として岩の上にかぶせていた土砂が流れ出たもの」と説明した。これに対し、京都大学の研究者らでつくる「国土問題研究会」の事務局長を務める奥西一夫・京都大学名誉教授(災害地形学)は「単に表面の土が崩れただけではなく、ドコッと崩壊跡地を作るような形が見えた」と話した。
4月10日に撮影された写真をよく見ると、斜面に穴が開いているように見える。奥西さんは「土の層の底の部分が地下水流で浸食されて空洞化し、その上が落ち込むような形で崩壊した」と推察している。奥西さんは3回目の崩落事故の後の対策についても、事業者が説明する方法ではかえって危険が増す、と指摘した。
事業者は「土砂が流れた法面は、土砂を除去したうえで、モルタル吹付を行う」などと説明。これに対し、奥西さんは「水を通さない表面処理は余計に雨水の地中浸透を妨げるので、ますます水の流出を助長する」と述べている。

