国土問題研究会が山下知事に提出した「平群メガソーラー開発地の危険回避に関する意見書」は、「今後のさらなる降雨による災害発生を防止するため、奈良県は事業者に対し、緊急対策と恒久的な対策に向けた基礎データの収集を指示するべき」と述べた。
緊急対策は「開発区域外への流出を防ぐ沈砂設備の配備など」で、基礎データの収集は「盛り土崩落場所の詳細調査や盛土内の地下水位観測など」により行うべきとしている。そのうえで抜本的な対策としては、洪水調整池の作り直し、斜面排水路の作り直し、暗渠排水路の追加などが考えられる、とした。
安全対策を求め続けてきた下流域住民の心配は続く
林地開発許可の取り消しを求めて提訴し、奈良地裁判決を受けて控訴したのは、メガソーラーの建設造成地から約800m離れた「椿台」の住民たちだ。その「椿台」に住んで29年になる日浦和世さん(75歳)は、2025年12月の控訴審口頭弁論で意見陳述を行った。「つい最近、新聞に次のような記事がありました」と切り出して、メガソーラーについて政府が2027年度から新規事業に対する支援を廃止する(FIT制度を廃止する)との報道に触れた。
そして、日浦さんは訴えた。「では新規事業ではない、平群のメガソーラーのことはどうなるのでしょうか」「これからの椿台が不安なく暮らせる場所でありますよう、司法の良識ある判断をお願いしたい」。
大阪高裁判決により逆転勝訴した6月18日、日浦さんは知人たちから「良かったね、ニュース聞いたよ」「もう(工事は)止まるんやろ」と言われたという。しかし、事業者の上告により、裁判は続く。「熱海の土砂災害のようなことが起きないか、不安でたまらない。天気予報を聞くたびに、また土砂が流出するのか、もっと大きな土石流になって椿台に来たらどうしようと心配です」と日浦さんは話している。

