制度づくりはパイロットにも及ぶ。福原氏によると、2028年の時点ではヘリコプター(回転翼機)の事業免許保持者に型式限定の訓練を施して資格を付与する。資格は機体の型式ごとで、他社の空飛ぶクルマとの共通免許にはならない。
パイロットの数は商用化の規模を左右する。当面は1機を飛ばすのに1人のパイロットが必要で、バックアップ要員も含めると機体数の数倍の人数を確保することになる。福原氏は、運航実績の蓄積に応じて固定翼機のパイロットにも候補を広げることを航空局と協議していく考えを示した。
10年スパンでは自律飛行を目指す。自動車ほど手軽にはならないものの、段階的に操縦を簡単にし、最終的にはパイロットなしで飛ばせる状態を視野に入れる。
プレオーダーは427機に
機体のプレオーダーは427機に達している。海外ではヘリコプター運航会社からの引き合いが目立ち、インドのムンバイではスズキと組んで事業開発を進める。インドネシアでは最大級のヘリコプター運航会社Whitesky Aviationが30機をプレオーダーし、ジャカルタの空港と都心を結ぶ航路を計画している。UAEではヘリコプター会社が50機の購入に合意し、ドバイの観光スポットでの商用飛行を目指す。運賃は2月の飛行実証の際に、2030年にタクシーの2倍以下を目指すと説明している。
国内では鉄道会社との連携が進む。大阪メトロとは「大阪ダイヤモンドルート」構想を展開し、森之宮新駅、新大阪、梅田、天王寺阿倍野エリアなどを空路で結ぶ。鉄道駅に空飛ぶクルマのポートを設置する例は森ノ宮新駅が世界で唯一だという。JR九州とは湯布院・別府間のルートを検討し、NEXCO西日本とはサービスエリアへのバーティポート設置で提携した。宮内氏は「大阪と九州・大分がファーストケースになり得る」との見方を示した。
日本成長戦略会議の注力分野の候補にも空飛ぶクルマが挙がっている。機体の技術は形になり、買い手も現れた。残るのは型式証明と、降りる場所と、飛ばす人の制度だ。2028年に乗れるかどうかは、この3つがどれだけ速く整うかにかかっている。

