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ライフ #「現金とっぱらい」の現場で

「口座残高は209円ですよ。見ますか?」 就職氷河期世代の49歳男性が「月収11万円」でも生活保護を受けない理由

12分で読める
49歳の男性
イベント系の日払い仕事は土日が現場になることが多い。しかし、来月、仕事があるかどうかはわからない(写真:筆者撮影)
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「30代の時に、3回同じ派遣先になった女性と仲良くなりました。1年ほど同棲をしました。結婚を少しは考えましたが、幼少時に、両親がろくでもない別れ方をしたのを見たので、僕には結婚願望がほとんどないんです」

戸田の人生は就職氷河期世代の一例

結婚にも希望が持てない。内閣府の調査では、就職氷河期世代では「結婚に積極的でない理由」として「経済力・不安定就労」を挙げる割合が他世代より高くなっていた。

戸田正和の人生は、就職氷河期世代のひとつの姿だ。

最初の就職につまずき、正社員になれないがゆえに職歴がつかず、自己評価は削られていき、その後の選択肢がせばまっていった。本人はもがいてみるも、社会は非正規雇用というレッテルを貼った。

それでも戸田は生きることを諦めず、日々を楽しむ意識を持つ。

「2日前にパチンコで10万円プラスにしてきました。無理に仕事を入れなくても、今月いっぱいは余裕で生きられるぐらいのお金があります」

銀行口座の残高は209円でも、手元にその金はある。今月なら行きたくない仕事は断れる。日払い仕事は一日我慢すれば終わる。そのような一日一日の積み重ねこそが人生だ。

この取材は、周囲の目を避けるためにカラオケボックスで行われた。取材後、戸田は「せっかくなんで歌っていいですか」と曲を入れた。TUBEの『夏を抱きしめて』だ。1994年に94万枚の大ヒットとなった曲、戸田が高校を卒業するころに流れていた。

曲調にどこか聞き覚えがある。

就職氷河期世代に、また夏がやってくる。

【もっと読む】年収500万円を捨て、透析を受けて…一流電機メーカーを辞めた64歳が現金日払いの「荷揚げ屋」を30年以上続ける切実な理由 では、現金とっぱらいの人生を送ってきた64歳男性を、ライターの松本祐貴さんが詳しく取材している。

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