NHKの朝ドラはモチーフとなる実在の人物がいれば、実際の生き様について知ることで、ドラマをより楽しむことができる。もう1つ、ドラマを深掘りする方法が、時代背景を踏まえておくということ。
今回の「風、薫る」は、前回の「ばけばけ」と同様に明治前期から中盤にかけての話だが、力点を置かれている時代背景が微妙にことなる。
「ばけばけ」では、明治維新直後の「武士の残り香が強い頃」から徐々に変化していく様子が描かれた。一方、「風、薫る」では明治10年代後半~20年代の「制度が整い始める頃」の空気が、より色濃く物語に影響を与えている。
患者が話題にした「憲法発布」の実情
第14週「ウソと誠」第66回放送(2026年6月29日放送)では、りん(演:見上愛)が見習生の土居ヒデ(演:池田朱那)とともにベッドのシーツを整える中で、患者さん同士でこんな会話がなされていた。
「憲法発布からもう2カ月か。相変わらず新聞はいろいろやかましく書き立てているね」
「あれだけの大騒ぎだったからなあ。俺らにはよくわからんが」
この「憲法制定が何やら盛り上がっているが、中身はよくわからない」という空気は、この時代の空気をよく描写しているといえよう。
というのも、実際に政府が憲法制定の話題作りに一役買っていたらしい。なぜ、そんなことをしたのか。背景を解説しよう。

